下町すみだ      築70年の牧師館暮らし。犬と庭と日々の糧。              
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん

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下町ビワづきあい
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教会の「父の日」のお祝いは、焼きそばパーティと決まっている。
この季節、うなぎの寝床のような奥行きばかりの庭に、桑が心地よい木陰を作ってくれる。
その下にバーベキュー場をしつらえて、みんなで集まる。
父以外の人には、
「肉っぽいものを持ってくるように」というお達しを出すのだが、これも毎度のこと。みな心得ている。
それでも不思議とジュースやお菓子なんかも集まって、ちょうどよいだけの食事会となる。
教会はホーム、キリストをリーダーとしたひとつの家族である。
家族の恒例行事というものは、だんだんに形作られて、おさまりがよくなっていく。

でも、今朝はあいにくの雨だった。
鉄板も炭火も諦めて、会堂で焼きそばをいただくことになった。
食後はビワ狩りの予定だったが、それも中止せざるをえない。
しかたない。二、三日前に収穫したビワをふるまう。
このビワは古く、いまでは大木となって、道路にせり出している。
6月に入ると次々と実をつけるのものの、あまりの大木で手が届かず、
おいしい思いをするのはカラスだけである。
ぼたぼたと落ちて割れたビワは道を汚し、無惨な姿になる。
それを見て、「もったいない」と、通りがかる人が言う。
よかったら自由に取ってくださいとすすめてみるが、そこまでしようとする人もいない。
それが今年、みんなで食べられるほど収穫できたのは、
ささやかなご近所づきあいのおかげだ。

数日まえのことだ。
夕方、(ほんと、もったいない)とひとりごちて、ビワの木を見上げていると、声をかけられた。
「おいしそうだねぇ」
ご近所さんだった。
これまで交わしたのは何年も、
ただ「こんにちは」というあいさつだけだったから、ほんの少し驚いた。
二人で見上げながら話を続けているうちに、
「うちのはさみ、貸してあげるよ」ということになった。
どうやら「高枝ばさみ」を持っているようなのだ。
いっしょになってご近所さんの家まで行くと、
玄関を開けてすぐのところから、私よりもうんと長身のはさみを取り出した。
やや、これはテレビショッピングでよく見るあれではないの。

テレビショッピングの売り文句にウソはなかった。
面白いように高いところの枝がらくらくと切れる。
枝をはさんだままの状態を保てるので、実が落ちてしまうこともない。
ご近所さんは、横でタバコをくゆらせながら、見物している。通販のデモをしてる気分だ。
実の多い一枝を差し出して、
「召し上がります?」と尋ねると、にやっと笑って受け取った。
「すごいでしょ、このはさみ」と満面の笑み。

ビワの枝を切っていると、不思議なほど道行く人が足を止める。
ほお、と木を見上げて、「おいしそうだねぇ」と言うのだ。
一枝すすめると、「あ、いいの?」と言って、必ず受け取る。
おあにいさん風の人、小さな子ども、おばあさん、犬の散歩の人と、
みんな話したこともない見知らぬご近所さんたちだ。
この日、数えてみると、祈とう会前までの短い間に、8人もの人たちが受け取っていった。
スーパーの帰りだというおばあさんは、ビワが大好物とかで、何枝もほしがる。
それで、こちらも張り切って狙いを定めて切り落とす。
枝を渡す度に、何度も何度も「ありがとう」と言う。
教会の先にある銭湯からの帰り道に、このビワの木を見上げては、
(食べたいなぁ)と願っていたそうである。
おばあさんにとってビワは、ただの果物というよりは子ども時代の思い出と深く重なるものらしい。
自転車のかごをいっぱいにしてペダルをこぐ後ろ姿を、こちらもほくほくした気持ちで見送る。

本当を言うと、うちの家族はみな、ビワをあまり好まない。
むしろ、庭仕事をする身としては、やっかい者とさえ思っている。
実も葉も落ちて、庭を汚すうえ、かまぼこ兵舎の雰囲気と合わないからだ。
でも、こんなにみんなに喜ばれる木だもの、植木職人さんがすすめてくれた通り、
そう簡単に切り倒してはいけないかもしれない。

朝落ちたビワの実や葉を拾う仕事とともに、
下町ご近所さんとのビワづきあいは、もうしばらく続きそうだ。


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by Annes_Tea | 2009-06-21 22:06 | 日々の庭と花
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