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下町すみだ牧師館暮らし牧師の奥さん&文筆家・宮葉子のブログ             
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん


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墨田区のふたつの拠点を中心に、子どもの本のロングセラーを読むゆるやかなサードプレイス。幅広い年代が参加されています。


つながる・祈る・分かち合う「pray&hopeプロジェクト」を主宰。月に一度、女性たちの集まりをもっています。
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だれかを自死で失ったことはありますか?
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「あなたが死んだら私は悲しい」
20日に開く講演会のきっかけとなったのが、
この本のタイトルだ。
死にたい、と面と向かって言われたら、
なんて言えばいいだろう。
わたしも、
「あなたが死んだら私は悲しい」
と言うかもしれない。
今ここに、ともに生きているからこそ言える台詞なんだから。
ただし、そんなことが言えるのは今だからかもしれない。

小6の女の子、そしてマツケンの奥さん。
まだ若い人の自死の知らせはいつだってショックだ。
知り合いかどうかなんてあんまり関係なくて、
とにかく心にどかん、と何かがぶつかってきたような衝撃。

とくにマツケン。
子どもが与えられて幸せそうな顔をしていたし、
人ごとながら本当によかった、よかった
と、心の端っこで応援していたせいか、
自分でも驚くほど動揺した。
それで、仕事先の男の先生に、
ご存知ですか? 
と聞いてみたら、知らないという。
話してあげても、あ、そう、
とあっさり会話は終わってしまった。
もう一人の先生にも試してみたけれど、
同じような反応だった。
そういうものなのかな。

直接の知り合いを一人でも自死で失っていたら、
感じ方はまるで変わってくる。
それが少し遠い関係の相手でも、
どこかで生き方や考え方に影響を与える。

ブログやエッセイで何度か書いたことがあるが、
わたしの最初の上司は会社で自死を選んだ。
わたしが会社、
とりわけ本質を失った大きな組織に違和感を覚えるのは、
このできごとが要因のひとつかもしれない。

あの日は夕方だった。
何か雰囲気がおかしい、と思っていたら、
女性社員たちだけ別室に呼ばれた。
「大丈夫ですから。何も言わないでください」
と部長が能面のような顔で繰り返す。
何のこと? 何を言わないの?
状況説明が何ひとつされず、
ただ、「口止め」を言い渡された。
上司が会社のトイレで死んだことを知ったのは
出入りの人からだった。

お葬儀で、新入社員であるわたしたち5人は受け付けを任された。
教会で行われたのはだれに信仰があったからだろう?
牧師はその死に対して、
どのような告別説教をしたのだろう。
受け付けにいたわたしたちは、
会堂内の様子を見ることはできず、
ただ、賛美歌を歌う人々の声を聞くうちに、
堪えきれずにおいおいとこちらも声を上げて泣いた。
とにかく、人生で初めて出席した教会でのお葬儀は、
こんな悲しい別れだった。
そして、もっと悲しかったのは、
受け付けにいた別の上司も、
また、先輩たちも、だれひとり涙を見せなかったことだ。

「よくあることなのよ」
と15年選手の総務の女性に言われた。
独身ですごく美人で仕事のできる人。
きっぱりとそう言った表情は今もよく覚えている。
あの人は、今もそう考えているのだろうか。

きっと、みんな泣いたに違いない。
心の中で、あるいはどこか別の場所で。
でも、
泣かないことが仕事のプロというものだったら、
なんだかそんなプロはいやだと思ったのだけは覚えている。
みっともなく泣いてもいいでしょ。
それが生きているというものだ。

教会の働きをしている今ならば、
あのときの上司の心の揺れを、
少しは理解できるような気がする。
転勤を言い渡されて移動までのわずか1週間あまりの間、
わたしの目の前に座っていた上司は、
明らかに様子がおかしかった。
うつ的な状態に陥っていたのだと思う。

あんまり様子がおかしいので、
女性の先輩たちに相談をした。
でも、
「しかたないわよ」
と言われた。
「次の上司が来るから名札を外しておいてね」
とも言われた。

昼休みが終わっても上司がいないと思ったら、
デパートに行って包丁を買い、
その足でトレイに向かい、命を絶ったらしい。
わたしは席を立ったその姿を目撃していた。
首を横に振りながら歩いていった後ろ姿も覚えている。
首にお肉がたくさんついていて何重にもなっていた。

もしも、は人生にないし、
そういう後悔はしたくない。
でも、もしもあのときわたしが神さまをすでに知っていて、
暗闇にある光を知っていて、
それで祈りの力を知っていたら、
「祈ってもいいですか?」
と声をかけられたのに、と思うことはある。
わたしには力がなくても、
祈りには力があるから。
でも、実際にそんな声をかける勇気を出せたかどうか。

それでも、
わたしが祈りの働きに何よりも気持ちを与えられているのは、
あの上司の死が与えてくれた志のひとつなのかもしれない。
ときどきふとこのできごとを思い出す。

いつも思うことは、
知ることから始まる。

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