宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん
参加者常時募集中! 「大人のための子どもの本の読書会」 墨田区のふたつの拠点を中心に、子どもの本のロングセラーを読むゆるやかなサードプレイス。幅広い年代が参加されています。 つながる・祈る・分かち合う「pray&hopeプロジェクト」を主宰。月に一度、女性たちの集まりをもっています。 ○詳細はここから メールは以下のアドレスに★を@に変えてお送りください。 booksheepbook☆ gmail.com 牧師館の住人たち (profile)← わたし ゴエモン先生 メル 墨田聖書教会Blog 文章・画像・イラストの無断転載は禁止です。引用の際には必ずご連絡ください。 外部リンク
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イースターリリーを片付けた。 満開になるまで、結局、6日もかかった。 毎年、満開のいちばんよい姿を見られるのは、 片付け隊である私だけなのが残念。 イースターリリーの香りは控え目だ。 可憐、清楚、ということばが確かに似合う。 オリエンタルリリーの香りは濃密で、 ときには息苦しくなることさえある。 でも、あのむせ返るような香りに包まれると、 いかにも特別な日というハレの雰囲気になる。 大きくあでやかな花と存在感のある香りは いかにもユリらしくて、わかりやすい。 だから、本家のイースターリリーよりも 人気なのは、なるほど、と思う。 テッポウユリの名前を持つイースターリリーは 花の開きぐあいがテッボウのごとく狭くて横を向いているために、 花粉をとる際には相当注意が必要だし。 さて、来年はどちらにしようかな? 白いユリを生けたり片付けたりする度に、 夏目漱石の『それから』を思い出す。 と言っても、 森田芳光監督の映画の方を。 漱石読みとしては、 代助が松田優作かあ、と驚いたし、 あの映画はちょっとと思うものの、 ユリの場面だけは忘れがたい。 「高等遊民」なんてことばに憧れたっけ。 映画はともかく、 今、この揺れる日本で、 漱石なんかを再読してみると気付くことが多いかもしれない。 (と思って、漱石の文庫本を本棚のいい場所に移動だけしてみた) 被災地に本を送る働きに少しだけ関わっていて、 現地で望まれているのはどんな本だろうとよく考える。 被災した経験はないけれど、 一日で積み重ねてきたものを失うという意味では、 犯罪被害に遭うということは、 ある種、人生の震災のような出来事だった。 私はそこから立ち直ろうとする過程の中で、 夏目漱石やら佐藤春夫やら宮沢賢治やら、 学生時代にお世話になった作家たちを読みふけった時期がある。 たぶんあれは、 「学生時代」という安全な場所に 逃げ込みたかったのではないかな。 でも、それも時間がかなり経ってからで、 事件から1年くらいの間は、子どもの本しかほとんど読めなかった。 最初に開いたのは『アンの愛情』だったはずだ。 『赤毛のアン』ではなく第三巻のロマンスものを選んだのは、 やわらかく甘い夢物語が必要だったのだ。 現実の厳しさとやるせなさをどうしてよいかわからなくて。 『続・足ながおじさん』なんかも読んだ。 私は『足ながおじさん』ではなく、 子どものころから『続』の方が好き。 あとがきで、作家が短命だったことなんかを熟読して、 自分を慰めようともした。 水に撒かれたパン、をつかむ思いだった。 でも、今、その悩んで悩んでの日々を通して、 さまざまな本のことばとはまるで次元の違う、 聖書という確かなことばに出会えたのだとわかる。 生きたことばは、しぼんだ心を蘇らせる。 これはほんとうだな、と思う。 水にパンを撒いてくれた一人一人に感謝している。 6月ごろから、 子どもの本を大人たちで読む読書会を開く予定だ。 場所は向島の『こすみ図書』とこの牧師館。 最初の本は何にしよう? 福音館の『完訳ハイジ』か、 講談社から新しく出た文庫の『ムーミン』シリーズも気になる。 懐かしい友に早くまた会いたい。楽しみ。
by Annes_Tea
| 2011-05-04 00:10
| 向島こひつじ書房の本棚
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