下町すみだ      築70年の牧師館暮らし。犬と庭と日々の糧。              
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん

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牧師館とは?

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「牧師館」なとど言えば、たいそうな建物のように聞こえるが、実際にわたしたちが暮らしているのは、年期の入った木造モルタル家屋である。
この建物は、戦後の物のない時代、民家の廃材をリサイクルした物件なので、会堂よりもさらに年上だ。もしかすると80歳以上?
わたしが入居する前、床のリフォームの見積もりをしてもらう際、「一刻も早く建て替えることをおすすめします」と工務店の社長から真顔で言われた。


その社長を仰天させたのは、2階のベランダに後から建てられた鉄骨の建物だった。
鉄骨の重みが、古い木造家屋を上からたえず押しつぶしている状態だという。なんでまた、木造の上に鉄骨でできたものを建てたのだろう。当時を知っている人は教会に一人もいないので、このなぞは今もって不明である。
さすがに、すぐさま撤去することになった。


撤去して出現したのは、広いベランダだった。でも、木造家屋の耐久性を考えると、置けるのは物干し台がせいぜいらしい。
場所はあるのに使えないのは残念だが、洗濯物を干すときには広々としてストレスがないのはうれしい。屋根伝いにやって来る猫にも人気のスポットだ。昼下がり、ベランダの窓をざっと開けると、猫が四方八方に散っていく。


牧師館というのは、いわば社宅のようなものである。
牧師と結婚したので、教会に併設された牧師館に住むことになったわけなのだが、これはいわばオールドスタイルだ。最近では、教会とすまいは別々の場所という牧師家庭も増えているし、新会堂建築の際には工夫が凝らされて、牧師も公私のけじめがつけやすくなっているところも多い。


ただし、私たちのように小さな教会の場合は、会堂の管理も兼ねた牧師館暮らしだから、別々にしてはかえって面倒ではある。
一応、納得して暮らし始めたのだが、サラリーマン家庭で育ったわたしが、職住隣接の暮らしに慣れるまでにはずいぶん時間がかかった。

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赤毛のアンの作者・モンゴメリーも、牧師夫人としていくつかの牧師館で暮らしたようである。アンシリーズの多くは、カナダのオリンタリオ州リークスデールの牧師館で執筆されている。
英語で牧師館をmanseという。ローマ帝国時代、国教でもあったカトリックの聖職者が、教区に持っていた大きな不動産を意味していた。英語のmanseであるモンゴメリーの暮らした邸宅と、わたしが暮らしている現・牧師館とは、似ても似つかないものに違いない。それでも、同じ「牧師館」に暮らした女性として、不思議と同労の思いを抱いてしまう。


何かで読んだエピソードに、彼女は牧師館の調度や庭作りはに並々ならぬ情熱注いだとあった。いわば社宅、しかも、たえず誰が来るかわからないような半分パブリックな場所を、どうやったら自分のホームにできるのか。このあたりの彼女の気持ちはわかるような気がする。
モンゴメリーは晩年、念願のマイホームを手に入れて、「旅路の果て荘」という名までつけている。牧師である夫が、途中、学生時代に悩まされたうつを再発したために、作家人生以外ではかなり苦労したようなので、最後のマイホームにはずいぶん慰められたのかな、とこれまた勝手な想像だけど。


今、将来のすまいの展望を問われても何もない。でもきっと、気に入った雰囲気のところに暮らしているはずだという妙な確信だけはある。
あまりにも楽天的? でも、わたしの周りにはグットサンプルの牧師夫人がたくさんいるので、そのおかげだろう。マザー・テレサのごとく、神にも隣人にも仕えてきた先輩牧師夫人たちを見ると、わたしの知るかぎりではみな幸せな晩年を送っている。
お金はなくとも、なんとかなるさ。こんな発想は、牧師館で暮らすまで、わたしにはないものだった。
成長したのか、のんきになったのか?
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by Annes_Tea | 2008-11-24 21:59 | 牧師館で暮らす
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