下町すみだ      築70年の牧師館暮らし。犬と庭と日々の糧。              
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん

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リノベーション日記 ドア編


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↑以前のドアには、ガラス部分にカッティングシートが貼ってありました。最初はステンドグラスのようできれいだったのでしょうが、風雨にさらされて次第にもろもろに。ドア自体はいい味を出していたので、ガラスを交換して使い続けることにしました。屋根に合わせて、新しいドアもグリーンです。鮮やかな色に、通りがかる人もはっと驚いて見ているようでした。きれいですよね。

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↑before&afterです。いかがですか? かなり印象が変わりました。ドアのグリーンとショーウンドウのような窓がいい雰囲気を出しています。通りがかる人も、訪れる人も、明るくなったねぇ、と言ってくれます。教会のみんなも大喜び! 職人のみなさん、よいお仕事をしていただき、ありがとうございました。
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by Annes_Tea | 2008-11-30 21:28 | リノベーション日記
リノベーション日記 窓編

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これが65年間使ってきた窓です。年輪を感じますね。特殊な形なので、新しくするには、全部オーダーで作ってもらう必要があります。わたしたちの予算ではそれは難しいけれど、現状に手を加えるとなると、壊れる覚悟でお願いしなくてはならない。さあ、どうなることでしょう?!
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まず室内側の窓枠を、無事に塗りかえていただきました。きれいになりましたよね。少し下がった天井部分も、修理をしてこの通り。
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今回、いちばんこだわったのが、コンセットハットの骨組み部分です。あえて濃い色にすることで、ドーム型の空間を強調し、よいリズムになりました。成功です!
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これは会堂の講壇部分の壁です。ボルドーカラーのビロードで覆われていましたが、思いきって石工ボードに張り替えることにしました。真っ白になった壁面にプロジェクターを投影して使う予定です。これで、賛美の時、スクリーンを出し入れする手間がなくなりそうです。
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by Annes_Tea | 2008-11-30 21:21 | リノベーション日記
リノベーション日記 天井編
今回、改装のきっかけとなったのは、「天井をなんとか少しでもきれいにしたい」という願いに始まります。白いペンキを塗ってはどうだろうかと意見がまとまったので、見積もりを頼むことにしました。ところが、職人さんに実際に見ていただくと、「たとえ一時的にきれいになっても、材質や環境を考えると早いうちに剥げ、よけいにきたなくなってしまうかもしれないですね」というご意見をいただきました。そこからわたしたちの計画も大きく変わっていきました。いっそのこと、天井材を総取り替えして、他のところも手を入れようではないか! こうしてわたしたちの新しい出発が始まりました。
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当時、まだ子どもだった夫の記憶によると、昔はボール紙のようなものが天井に張られていただけだったそうです。ところどころ穴が開いていたらしく・・・。板を剥がしてみると、ログハウス風の天井が出現しました。65年前に作ったにしては、案外、傷みが少なくて驚きました。でも、さすがに場所によってはこんなにボロボロ。

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曲線のある場所に使われるシナ合板で天井を覆い、ゴム材でできた木製風のとめ具を使う予定でした。ところが、天井が予想以上に歪んでおり、うまくとまらないことが判明しました。そのため、まず下地を貼ってから、その上に合板を3ミリずつ隙間をあけて貼り合わせるという手法がとられました。
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ついに完成!! すっかり会堂内が明るくなりました。限りある予算でも、ライトだけは変えたいと思っていました。シェードのないタイプを選びましたので、以前よりもまんべんなく光が届きます。明かりの色は念願の電球色です。温かい雰囲気で居心地よく、ついつい長居?
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by Annes_Tea | 2008-11-28 12:29 | リノベーション日記
リノベーション日記 屋根編
Quonset Hut: Metal Living for the Modern Age
/ Princeton Architectural Pr
ISBN : 1568985193

↑若い建築家の知人が、この本を貸してくれました。わたしたちの教会と同じくコンセットハットを利用した建物の実例が、写真と平面図入りでたくさん掲載されています。古ぼけてあとは建て替えるだけだと思っていた会堂ですが、この本を見て勇気りんりん。世の中は広いですね。住居として素敵に暮らしている人や、見事な外装を加えて立派に教会として使っているところなど本当にさまざま。コンセットハットにはいまだに不思議とファンがいるのですね。

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↑これがわたしたちの教会の全景です。戦後すぐ、アメリカ人のコリンズ宣教師が、組み立て式コンセットハット一式の広告を車内吊りで見つけて、購入を決めたと聞いています。GHQの時代ですね。本来は米軍兵舎として使われる建物ですから、コンパクトで丈夫。もう65年以上も経つんですけど。

ただし、現在も建物として使われているのは、東京ではこの墨田聖書教会だけです。
昔はほかにも教会として使われていたそうですが、どこも建て替えてますよね、さすがに。いまとなれば少し面白いかな、と感じていますが。

それでも現実には、もうそろそろ限界にきている建物だと思います。礼拝の時に天井を見上げては、うーん薄汚れている、とひそかにわたしはため息をついていました。
今年、教会の人たちに、よし前進しよう! という気持ちがわいてきたので、ロゴス建築さんに新会堂の設計図を作っていただきました。そうなのです、わたしたちの心の中にはすでにパティオつきの素敵な教会が建っているのです。
でも、先立つものが・・・。
というわけで、まずは前進の一歩として、この建物にもう少しだけがんばってもらおう、ということになりました。建物に本格的に手を入れるのはなんと30年ぶりです。
さて、どんな風に変身するでしょうか。

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↑まずは長年の汚れを落とします。屋根だけは7年前に塗り替えてありましたが、この温暖化でペンキが溶け出したり、大変なことになっていたようです。洗浄が済んだら、錆を落として磨きに磨いて補修です。職人さんたちが心をこめて作業をしてくださいました。



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↑作業から4日目、わがやのベランダから屋根を見ると、なんと真っ白け。やや、雪が
降ったのかしら、とびっくりしました。これは塗装前の下地だったのですね。そうして3日後には、このように見事なグリーンの屋根が出現しました。今回は、遮熱効果のあるペンキを使っていただきました。2度くらいは違いがあるということを聞いて、みんな大喜び。トタン屋根の夏は暑くて、目玉焼きが屋根の上でできそうでしたから。
あまり喜んでいるのを危惧されてか、過大な期待はしないでください、と建築家のSさんから念を押されましたけど。
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by Annes_Tea | 2008-11-27 12:19 | リノベーション日記
初めての梅が丘散歩
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先日、生まれて初めて梅が丘に行った。小田急線沿線で暮らしたこともあるのに、なぜか梅が丘だけは素通りして、ここまできてしまった。

梅が丘と言えば、美登利寿司だよね。この台詞をいろんな人から何度聞いたことだろう。結婚してすぐ、夫も同じように言うので驚いた。そうなんだ、やっぱり美登利寿司なんだ。梅が丘には、夫の古い友人が営む素敵な「ギャラリー喫茶ゾーエー」もあるという。行こう、行こう、いつか行こう梅が丘、と思い続け、ようやく実現にいたった。

でも、原動力になったのは、寿司ではなくて、じつはステンドグラスだ。壁画工房101を主宰されている田ケ原弘さんの小品展が、ゾーエーで行なわれているという。田ケ原さんも夫の古い知人なので、毎年送ってくださるクリスマスカードの作品を通して、いつか実物を見たいと思っていた。先に見に行った夫から、オリーブをくわえた鳩がいたよ、と聞くや、どうしても自分の目で確かめたくなった。オリーブに鳩、というモチーフに弱いのだ。もちろんこれは、ノアの箱船の話で、大洪水の後、鳩がオリーブを加えて船に戻ってくるという旧約聖書のシーンだ。

ゾーエーは、思ったよりも男っぽい雰囲気で、阿佐ヶ谷にあるジャズの店を思い出して、懐かしくなった。オーナーにそう告げると、ギャラリー喫茶を開こうと決めたとき、色々な店を見て歩いた中に、阿佐ヶ谷の「西瓜糖」も入っていたと教えてくれた。わ、つながった。阿佐ヶ谷では「西瓜糖」の近くに住んでいたので、仕事でも友人でも大切な相手と会うときは、たいていそこを利用した。コーヒーを頼むと、いつもひと粒のピスタチオが添えられていたっけ。

「でも、なくなっちゃったんですよね」とわたし。ええっ、と今度はオーナーが驚く。移転したのかどうかわからないが、先日、阿佐ヶ谷の中杉通りを歩いていて、わたしも驚いたのだ。なくなりそうにない店だったのに。以前、だれだったかの本のあとがきに、「阿佐ヶ谷『西瓜糖』にて」というくだりを見つけて、ひとりうれしがったのも昔のこと。残念に思っている人は少なくないはず。ブローディガンの訳者だったかな?

かんじんのステンドグラスだが、ギャラリーといっても、窓際や壁際を利用したスタイルだ。お目当ての作品のある席には、あいにく先客が座っていた。その人は熱心に書き仕事をしていたので、声をかけるのも悪くて、遠くから作品を眺めて終わってしまった。でも、滅多なことでは梅が丘には来られないような気がして、まちを散歩した帰り、もう一度ゾーエーに寄った。よかった。今度はじっくりと見ることができた。鍛鉄のまあるい枠の中に、厚みのあるガラスが入っている。その中に確かにオリーブをくわえた鳩がいた。鳩は羽を大きく空に広げている。線の太い素朴な図柄も、ぽってりとした質感も好みだ。新しく塗り替える会堂のドアの真ん中に埋め込んだら似合いそうだ。
光にかざしてみたかったけれど、外はもう夕方。よく見ると、この作品はすでに売約済みのシールがついていた。同じようにこのモチーフが好きな人がいるのかと思うと、まだ見ぬ友を得たようなうれしさ。さあ、時間もいいころだし、美登利寿司に行こうか。

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美登利寿司は、きれいで活気のある店だ。にぎりの前に、かつおの赤みのネギマを頼んだのだが、手違いで先に寿司が来てしまった(らしい)。わたしたちはそんなことにも気づかず、おいしい、おいしい、とはぐはぐにぎりを食べていたのだが、板さんがやってきて、すみませんでしたと言う。そうして、かつおの赤みのいいところを、もう少しおまけして持ってきてくれた。またまたうれしい。梅が丘に来てよかった。みんないい人、みんなおいしい。帰り際、思わず美登利寿司のメンバーズカードを作ってしまった。でも、梅が丘はやっぱり遠いよね。

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↑ステンドグラスはきれいに撮れなかったので、この日の一枚はこれ。
今ちょうど、近くの中学校でゴスペルコンサートをやっているみたいだよ、とオーナーから教えられ、坂をのぼって行ってみました。平日の中学校でなぜにゴスペル? 道すがら、この手作りポスターを発見! 導かれて体育館に入ってみると、たしかに本物のプロのゴスペルシンガーでした。名前は忘れましたが、アメリカ人の女性です。中島美嘉だとか、様々な日本のアーティストのコーラスをされたり、CMソングを歌っている方でした。最後には、夢を持つ大切さを生徒たちに語ってくれました。主催はお母さんたちかな、という雰囲気のコンサートでした。公立の中学校で本物のゴスペルコンサートを開けるなんて、いいですね。

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↑ゴスペルついででは失礼ですが、11月にうちの教会で行なわれた シューブのゴスペルチャリティーライブの様子です。今回も、マニラのストリートチルドレンの学習支援のために、多くの方が協力してくださいました。キキさんは最近、アフリカの打楽器に夢中だそうです。いつも来てくれてありがとう。今回のシューブのメンバーは、ママを中心にした顔ぶれです。いまやシューブは、プチシューや、ジョイママなど、どんどん分化、増殖を続け、いったい何人ぐらいの方がメンバーなのでしょう? それでもみなさんウエルカムだそうですよ。サイトをのぞいてみてください。



    
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by Annes_Tea | 2008-11-26 22:19 | まちを歩く
子どもの本専門店「ひつじ書房」

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本物の「ひつじ書房」は神戸にある。
子ども時代、本との幸せな出会いの多くは、この場所で与えられた。村岡花子訳『赤毛のアン』シリーズを買い揃えたのもここである。
小さな店内は、棚の上から下まで子どもの本で埋め尽くされている。当時は上にいくほど高学年向けの本で、一冊ずつ背表紙を眺めては、早く読んでみたくてどきどきした。ついにケース入りの『アンネの日記』を手に入れたときの誇らしさといったら。真っ白な布張りの表紙に金文字でタイトルが書かれただけの装丁は、それまでのどの本よりもシンプルで、大人びて見えた。


ここ何年か、年に一度は神戸に行くことが続いた。「ひつじ」はJR摂津本山駅のホーム沿いにあるので、三宮に向かう車窓からも見える。
あ、あるある、と毎年確認だけはしているのに、ほんの少しだけ、心配な気持ちがいつもある。店主には失礼ながら、まだあるかしら、などと思ってしまうのだ。
ある時には、どれだったか「ひつじ書房」の看板のひと文字が欠けていた。翌年には、ちゃんと新しくつけ変わっていてほっとした。
大丈夫、「ひつじ」は元気、健在だ。


2年ほど前、尼崎にいる甥っ子に本を贈りたくて、実際に店まで足を運ぶことにした。行けるうちにもう一度「ひつじ」に行っておこうという気持ちもあった。二人いた客が帰り、女主人とわたしだけになると、本選びを助けてもらいたくて話しかけてみた。なんとはなしに話は子どもの本談義になったので、自分が子ども時代の常連だったことを明かした。
「そのころはわたしも若かったのでしょうね」
と白髪の混じる女主人は言った。子どものわたしは本ばかり見ていたせいか、店の奥のレジにどんな人が座っていたのか、まったく覚えていない。でも、きっと、この女性からわたしは何度も本を買ったのだろう。


どうしても聞きたかったのは、店名の由来である。
というのも、聖書を読む者にとって、「羊」というのはなじみが深く、日々、目にする文字だからだ。たとえば、子羊と言えば主イエス・キリストを指す言葉だし、わたしたちは羊にたとえられる。教会付属の幼稚園などによく「ひつじ」の文字がついているのもそのせいだ。
聖書だけはなく、飼い犬がボーダー・コリーというところにも、自分と羊とのつながり感じてしまう。ボーダーは本来羊飼いの働きをするワーキング・ドッグである。河川敷で鳩の群れを一羽たりとも逃さず追いつめていく様子を見ると、一度くらい本物の羊を追わせたいなぁ、と思ってしまう。
とにかく、「ひつじ書房」の「ひつじ」にはどんな意味があるのか、羊好きとしてはどうしても気になるところだ。


「子どもの本屋なので、子どもたちに親しまれている動物の名前をつけようと思った」のがきっかけなのだという。候補の動物を詳しく調べていくうちに、昔から羊という言葉には深い意味があることがわかったのだという。
羊は羊飼いがいないとうまく育たない。時には谷底に落ちてしまうようなこともある。そのあたりを、よきガイド者としての子どもの本屋の役割と重ね合わせて、いちばんしっくりくる動物だったのが羊だったそうだ。
「うさぎ書房」や「りす書房」ではなくて本当によかった。


新しいお客さんが入ってきたので、話もそこそこに終わってしまったが、「ひつじ」のなぞを解明できたので大満足だった。甥っ子へは、フクロウにまつわる冒険を描いた父と息子の物語を包んでもらった。レジのわきにあるコピーの束に目をとめると、
「わたしが長年、本について考えてきたことはここで全部言ってくれています」
と言うので、思わず買ってしまった。児童文学翻訳家の脇明子さんが「子どもの読書を考えなおそう」という趣旨で連載されていたものだった。
「ここにも大切なことが書かれていますよ」
と言って手渡してくれたのは、岩波書店の「図書」、特集は石井桃子さんだった。まだ石井さんが亡くなる前だった。


店主と言葉を交わした時間は、ほんのわずかだったけれど、石井桃子さんを通しても、わたしは「ひつじ」からのメッセージをこれまでもたくさん受け取ってきたのかもしれない。クマのプーさんもノンちゃんも、やっぱりみんなここで出会ったのだから。
自分だけの本棚を心の中に持っていると、それは思いがけない時に支えになってくれる。心の本棚のいちばん下に並んでいるのが、わたしの場合は「ひつじ」で買った本のように思う。

時代が変わっても、子どもたちが「ひつじ」で素敵な出会いを続けられるといいな。
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by Annes_Tea | 2008-11-25 19:57 | 向島こひつじ書房の本棚
食卓のテーマ

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牧師館は別名「ホワイトハウス」である。
自分たちの手でリフォームすることになった時、年代物のモルタル壁はいかにもみじめな雰囲気だったので、白いペンキを塗りまくった。気になっていた天井のしみも、ローラーでぐりぐり厚化粧を施して、見た目年齢は大幅に若返った。
雨漏りのように見えるこのしみは、イスラエルのキブツで暮らしていた先々代の牧師が、聖餐式用にとワインを試作したさいに、醸造なかばで爆発しつた痕跡だ。


たしかに見違えるほどきれいにはなったのだが、塗りっぱなしの壁はどうにも寒々しい。気に入ったものを見つけては、少しずつ飾っていこうと考えていたら、
アートに関わっている友人から、作品を寄贈したいという話が転がり込んできた。
ただし、寄贈にはひとつだけ条件がある。
人の出入りのある場所に飾ること、これが作者の願いなのだという。


教会は、日曜日以外にも、何やかや人の集まる場所である。
確かに作者の条件にかなっている。でも、悲しいかな、かまぼこ兵舎の会堂は、窓ばかりで極端に壁が少ないのだ。掲示できる壁は貴重なスペースだから、当然埋まっている。わたしたちのすまいは教会とひと続きなので、
ここでどう? ずうずうしく申し出てみると、快い返事が返ってきた。


作者はロンドン在住の日本人アーティストで、和紙と他素材を組み合わせた作品で知られている。いただいた作品には、小さな和紙のスプーンが一本だけ、アルミ素材のハンドメイドの額の中に入っていた。
額を裏返すと、タイトルが「small things」とある。あら、うれし。わたしの食卓のテーマとつながっている。


結婚をするときに決めたのは、日々の小さなことを大切にしよう、とまぁそんなところだ。とりわけ「食べる」という営みをくらしの真ん中に置きたいな、とこれは独身時代が長かった私の長年の憧れでもあった。
「贅沢は必要ないけれど、食べることだけはケチらないでいこうね」と夫になる人が言った。
うん、気が合うな、そういうところ、と結婚前に感慨深く思ったことは覚えている。


ひとことで食べると言っても、たんに食事のことだけではなくて、わたしたちにとっては、聖書のことばを食べるのも日々の営みの中心だ。
だから、食卓のモットーになる一節を探していて、聖書から見つけたのはこれだ。


「一切れのかわいたパンがあって、

 平和であるのは、
 
 ごちそうと争いに満ちた家にまさる」 (箴言17章1節)

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さて、日々平和ですか?
と聞かれると、うーん、とことばを濁してしまう。
わたしの文句がつい出てしまうのは、夫が食事をするスピードの速さだ。もっとゆっくり食べてよ。さっき作ったと思ったら、もう食べ終わっているのはじつに悲しい。
ここのところだけはなかなか平和な会話とはいきにくい。


ところが、最近お医者さんから脱メタボには十分に噛んで食べること、と言われた夫は、少しペースを落とすようになった。
ゆっくり、ゆっくり、しっかり、しっかり。ペースが落ちると、会話も増える。それでもって、体重が減る。あ、なんだか最近とっても平和だ。
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by Annes_Tea | 2008-11-24 22:03 | お茶と料理、ときどきカフェ
もう一度、アン
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子どものころ、愛読書を聞かれると迷わず『赤毛のアン』と答えていた。
アンの世界に足を踏み入れたのは小学4年生だった。ラベンダーカラーのシリーズ本を、子供の本専門書店「ひつじ書房」で一冊ずつ買い揃えてもらった。
ひとり暮らしを始めるときも、この10巻だけは持って実家を出た。転居のたびにいつでも取り出しやすい場所に置く、いわばわたしの相棒である。遊びに来た人がアンシリーズを見て、こういうの好きなんだ、と意外そうに言われることもよくある。


アン好きの多くの人たちと同じく、わたしも村岡花子さんの訳にこだわる一人である。それまで読んできた児童文学とは、どこか文体の雰囲気が違っていた。実際には少し難しくて、意味のよくわからない言葉も多かった。それでも、「婦人外国伝道後援会」も「客用寝室」も「歓喜の白路」も、きらきらとした異国の言葉のように心に響いた。「○○だわ」というアンの言い回しは、いまもわたしの中に根づいている。
当時、手紙を書くのに夢中になっていたので、アンの得意な「熱烈」だとか「想像の余地」だとかいう言葉を使い、ときには何行かを引用して、大人たちを感心させては得意がっていた。


大人になってから、松本侑子さんの注釈付きの訳本を読んだ。
その中でアンの物語には、シェイクスピアなど文学からの引用が多く含まれていることを知った。中でも聖書からの引用が多いのは、モンゴメリーがクリスチャンの祖母に育てられ、自身も聖書に親しんだことと関係があるのだろう。
あ、つながった、と思ったのは、わたしもそのころ聖書を読み始めたばかりだったからだ。わたしが憧れて引用までしてきた文章は、もしかすると聖書のことばだったのかしれない。


これまで生きてきた中でぼんやりとしていた事柄が、何かでつながっていくのを見るのは楽しい。新しい意味、新しい物語がそこから始まっていくからだ。
アンが再び身近になったのは、何度も言うように、モンゴメリーと同じように牧師夫人になると決まったからだ。
それに加えて、今年はもうひとつつながったことがある。それは村岡花子さんの生涯を明かした『アンのゆりかご』という本に出会ったおかげだ。この本は、村岡さんのお孫さんである村岡理恵さんの筆による。
じつは、村岡花子さんは何かの講演会のおり、わたしの母の実家に一泊だけ滞在してくださったことがあると聞いていたので、一方的により親しい気持ちを抱いていた。
その彼女もクリスチャンであること、そして、アンを翻訳する仕事を、カナダ人宣教師から託された戦時下でのミッションとしてとらえていたことをこの本を通して初めて知った。


教会にはアン好きが多い。アンと同じように、教会が町の中心となって人々をつないでいく物語に、ローラ・インガルスの『大草原の小さな家』がある。
どちらかといえば、テレビの実写で何度も再放送されてきた大草原の方が、印象が強いようで、教会の人たちにはより人気がある。
先日、テレビシリーズをもう一度DVDで見直したという60代の男性が、嬉しそうに教えてくれた。たまたま見た回が、教会建築にまつわる話だったのだという。その人は、学生時代にアンも読んでいて、「道の曲がり角」の話で二人で盛り上がってしまった。出版社で働いていた時、アンだけはよくわからない、という男性編集者の声をよく聞いていたので、アン好きの男性が身近にいたことに嬉しくなった。


アンを読んだことある?
日ごろ接している小学生たちに聞いてみるのだが、100人いて1人がいいところだ。
ほとんどが知らないか、お母さんから聞いたことがあるような気がする、という答えがいいところ。時代がどんなに変わっても、できれば小学生の間に読む機会があれば幸せだと思っている。とくに4、5年生。いつもそれこそこの学年には「熱烈」にすすめる。
今年はそれで5人のファンを生み出すことができた。
子どもたちにも読み継がれていってほしいが、大人になった女性たちにも、もう一度アンを、とすすめてみようかなとも思っている。
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by Annes_Tea | 2008-11-24 22:02 | 赤毛のアン
牧師館とは?

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「牧師館」なとど言えば、たいそうな建物のように聞こえるが、実際にわたしたちが暮らしているのは、年期の入った木造モルタル家屋である。
この建物は、戦後の物のない時代、民家の廃材をリサイクルした物件なので、会堂よりもさらに年上だ。もしかすると80歳以上?
わたしが入居する前、床のリフォームの見積もりをしてもらう際、「一刻も早く建て替えることをおすすめします」と工務店の社長から真顔で言われた。


その社長を仰天させたのは、2階のベランダに後から建てられた鉄骨の建物だった。
鉄骨の重みが、古い木造家屋を上からたえず押しつぶしている状態だという。なんでまた、木造の上に鉄骨でできたものを建てたのだろう。当時を知っている人は教会に一人もいないので、このなぞは今もって不明である。
さすがに、すぐさま撤去することになった。


撤去して出現したのは、広いベランダだった。でも、木造家屋の耐久性を考えると、置けるのは物干し台がせいぜいらしい。
場所はあるのに使えないのは残念だが、洗濯物を干すときには広々としてストレスがないのはうれしい。屋根伝いにやって来る猫にも人気のスポットだ。昼下がり、ベランダの窓をざっと開けると、猫が四方八方に散っていく。


牧師館というのは、いわば社宅のようなものである。
牧師と結婚したので、教会に併設された牧師館に住むことになったわけなのだが、これはいわばオールドスタイルだ。最近では、教会とすまいは別々の場所という牧師家庭も増えているし、新会堂建築の際には工夫が凝らされて、牧師も公私のけじめがつけやすくなっているところも多い。


ただし、私たちのように小さな教会の場合は、会堂の管理も兼ねた牧師館暮らしだから、別々にしてはかえって面倒ではある。
一応、納得して暮らし始めたのだが、サラリーマン家庭で育ったわたしが、職住隣接の暮らしに慣れるまでにはずいぶん時間がかかった。

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赤毛のアンの作者・モンゴメリーも、牧師夫人としていくつかの牧師館で暮らしたようである。アンシリーズの多くは、カナダのオリンタリオ州リークスデールの牧師館で執筆されている。
英語で牧師館をmanseという。ローマ帝国時代、国教でもあったカトリックの聖職者が、教区に持っていた大きな不動産を意味していた。英語のmanseであるモンゴメリーの暮らした邸宅と、わたしが暮らしている現・牧師館とは、似ても似つかないものに違いない。それでも、同じ「牧師館」に暮らした女性として、不思議と同労の思いを抱いてしまう。


何かで読んだエピソードに、彼女は牧師館の調度や庭作りはに並々ならぬ情熱注いだとあった。いわば社宅、しかも、たえず誰が来るかわからないような半分パブリックな場所を、どうやったら自分のホームにできるのか。このあたりの彼女の気持ちはわかるような気がする。
モンゴメリーは晩年、念願のマイホームを手に入れて、「旅路の果て荘」という名までつけている。牧師である夫が、途中、学生時代に悩まされたうつを再発したために、作家人生以外ではかなり苦労したようなので、最後のマイホームにはずいぶん慰められたのかな、とこれまた勝手な想像だけど。


今、将来のすまいの展望を問われても何もない。でもきっと、気に入った雰囲気のところに暮らしているはずだという妙な確信だけはある。
あまりにも楽天的? でも、わたしの周りにはグットサンプルの牧師夫人がたくさんいるので、そのおかげだろう。マザー・テレサのごとく、神にも隣人にも仕えてきた先輩牧師夫人たちを見ると、わたしの知るかぎりではみな幸せな晩年を送っている。
お金はなくとも、なんとかなるさ。こんな発想は、牧師館で暮らすまで、わたしにはないものだった。
成長したのか、のんきになったのか?
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by Annes_Tea | 2008-11-24 21:59 | 牧師館で暮らす
牧師館のお茶会って?
                 Have a tea?
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『赤毛のアン』に「アンお茶にまねかれる」という章があります。
アンが人生で初めてお茶会に招かれた時のお話です。
新しく教会に赴任したアラン牧師夫人の発案で、日曜学校の生徒を牧師館のお茶にかわるがわる招くことになり、ついにアンのもとにも『グリンゲイブルスのミス=アン=シャーリーへ』と書かれた招待状が届きます。


牧師との結婚が決まったときに思い出したのがこの話でした。
ミセス・アランは幸せいっぱいの新婚さん。お茶会では、うすいピンクのオーガンディーの美しい服でアンを迎えてくれます。オーガンディーという言葉に特別な響きを感じて子ども心にうっとりしたことを覚えています。これから始まる暮らしも、少しはミセス・アラン風にいきたいものだなどと、結婚前の浮かれ気分で想像したものです。


ところが現実は、まるでスイートとはいきませんでした。
牧師館はあまりにも荒れ果てており、女性が暮らすには手を入れる必要がありました。まずはあかずの間をわけ入り、不要物を処分することから始まりました。リフォームで出る廃材とあわせて、その量なんと2トントラック7台分 ! 新婚時代の幕開けは掃除に明け暮れて、ティーポットで優雅にお茶を飲むなど夢のまた夢でした。


でも、こうして結婚から何年かが経ってみると少しずつ願いがかたちになっていることに気づかされます。教会で、あるいは教会の庭で、そして牧師館で、それはそれはたくさんの方々と一緒にお茶をいただいてきたな、と。さすがにオーガンディーとはいかず、庭仕事の合間にジャージ姿で通りがかりの客人と一杯、なんてこともめずらしくありませんけれど。


今年(2008年)は、『赤毛のアン』が日本で出版されて100年ということで、アンという文字を目にする機会がたくさんありました。牧師夫人でもあったアンの生みの親・モンゴメリー、そして、やはりクリスチャンである訳者の村岡花子さんの生きざまなどに再び触れる中で、もう一度、アンとの友情を取り戻したくなりました。


モンゴメリーの時代から時を経ても、牧師館は相変わらず人々と過ごす数だけ素敵なお茶の時間があるように思います。
ほんの少し、みなさんともほっとひと息つける一杯をわかち合えれば。
そんな気分でこのブログを少しずつ続けてみようかと思っています。
                                      2008年11月


             enjoy !
             
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by Annes_Tea | 2008-11-24 21:54 | はじめての方へ


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