下町すみだ      築70年の牧師館暮らし。犬と庭と日々の糧。              
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん

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キリスト者の自由
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CSのお礼にといただいた佐藤錦。
手をかけて作られたこれも作品ですね。
美しい。



暮らし回りを書いているこのブログには、
ちょっとめずらしいタイトルですかね。
最近、このテーマを考えさせられる場面が多いもので。

たとえば、
「お酒を飲める自由」ではなく、
「お酒を飲まなくてもいい自由」もある、
という発想の転換。
あるいは、
「やりたい放題にやる自由」と
「やることを選んでいく自由」との違いとか。
このあたりをつかめるまで、
信仰を持っても、案外、じたばたしてしまうことがある。
ねばならないという思い込みによって、
自分で自分の心を窮屈にしてしまったり。

思い浮かぶ聖書のことばは
「あなたがたは、私たちの中で制約を受けているのではなく、
自分の心で自分を窮屈にしているのです」


もっと安心していいんだよ、
と言ってあげたい人がたくさんいる。

最近読んだ本と、
考えていた「自由」についてリンクした。
作家の保坂和志さんのエッセイの中にある
「小説の自由」という小文だ。

言い得て妙、という感じを忘れたくなくて、
引用させてもらいます。
(この程度の長さなら引用許可ですよね?)


サッカーや将棋にかぎらず、すべて競技にはルール=拘束がある。
逆説的に響くかもしれないが、卓越した能力を発揮して、
自由自在に動き回れると見える人ほど、
体や思考を競技それぞれの拘束に順応させている。
つまり拘束の中にいる。
拘束に体や思考を順応させることをトレーニングといい、
端からはトレーニングは退屈で不自由きわまりないように映るのだが、
その「不自由」は自由を獲得するための道のりだ。

(省略)
大事なことはルール=拘束のある競技において、
自由とは不自由の対立概念ではなく、
不自由のずっと奥にある状態のことだと知ることだ。
競技者は拘束に対して主体的でなく他の誰よりも受け身になるから自由を実現できる。
創造性や想像力は何も拘束がないところから生まれるのではなく、
拘束によってもたらされる。

(『猫の散歩道』中央公論新社より)

スポーツでも絵画でも小説でも、
何かを作り上げていく、ということにおける
拘束と自由の関係って、
保坂さんの言っていることが通じると思う。
それは人生を作り上げるという過程においても同じかな。
私たちは神の作品、とあるものね。

聖書には、こんなことばもある。
「すべてのことは、してもよいのです。
しかし、すべてのことが有益とはかぎりません。
すべてのことは、してもよいのです。
しかし、すべてのことが徳を高めるとはかぎりません」


何でもしてもいいけれど、
それが自分を損なうリスクもあるよ。
あなたは尊い存在として作られたのだから、
あなたの行動、
あなたのことばで、
自分自身を汚してしまうのは残念なこと。
とまあ、平らに訳してみるとこんな感じ?
自己憐憫は自分を損なうだけだし、
嘆きや不満は、
聞いた人の心を傷めるだけではなく、
発する本人の心をもどんどん傷めるものね。

結局、私たちキリスト者が選びとるときの指針はここにある。
「こういうわけで、あなたがたは、
食べるにも、飲むにも、
何をするにも、
ただ神の栄光を現すためにしなさい」


この「しなさい」はねばならない、ではない。
やっぱり自由意志による決意と選択の問題だ。
この自由がわかると、本当にシンプルだ。
シンプルは身軽だし、嬉しい。
この嬉しさを言い換えれば
「栄えに満ちた喜び」。
これがキリスト者の自由の本質だろうと思う。

最後はやはりこのことばかな。
「キリストは、自由を得させるために、
私たちを解放してくださいました。
ですから、
あなたがたは、しっかり立って、
またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい」


牧師館のお茶会ならぬ話題でしたが、
たまにはまっすぐ聖書について語るのもよろしいかと。


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by Annes_Tea | 2011-07-04 10:13 | 牧師館で暮らす
被災地に送る本を選ぶ
                          雨の日は退屈。
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まるで検閲のようなのだが、
被災地に送る本の中には、
どうだろうと思うものもあるので、
そういう時にはざっと目を通すようにしている。

たとえば、ダレンシャンのシリーズ。
友だちの命を救うためにヴァンバイアになってしまった主人公の奇妙な人生を描き、
小中学生に今も根強い人気がある。
ダレンシャンの悩み苦しみというのは、
子どもたちが共感するだろうとは思う。
それでも、人の血を吸う生き物の話だもの。
グロテスクな仕掛けがたくさんあって、
結局は、そのことばかりが印象に残る。
なんだかマンガの『犬夜叉』みたいだ。
よくできた物語なのはわかる。でも、でも。ううむ。
さんざん悩んだ末、
何も今、被災地に送らなくてもと判断した。

友だちの身代わりの話ならば、
『あらしのよるに』がいいかな。私の本棚から送り出そう。
本でも映画でも「身代わりの死」というモチーフは
昔から人の心にうったえてきた。
聖書を読んでみて、
なあんだ、すべての原点はここなのね、
と納得した覚えがある。

絵本はロングセラーを送って下さる方が多く、
懐かしい再会に感激したり、
読み継がれているわけに納得したり。
たった二箱を用意するだけなのだが、
こんな調子だから作業はゆっくりだ。

今回は、那須の拠点に送り、
そこから那須町や福島の避難所を中心に届けられると聞いている。
「子どもたちに笑顔を」というのが働きの合い言葉らしい。

避難所暮らしの大人たちからリクエストが多いはの
推理小説だと聞いている。
こちらは別の方のお役目だろうと
私は手を出さないでいる。

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こちらが小学生高学年から中学生向けの読み物の一部。ついつい読んでほしくて、『太陽の子』なぞを選んでしまいます。これを読まずして大人になるなんてモッタイナイ。ギター教室の中学生たちに愛読書を聞くと、スニーカー文庫だそうです。まあ、なんといっても『けいおん』には負けるそうですが。「翼を下さい」を練習してますよ。リズムが早くてびっくり。


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by Annes_Tea | 2011-06-16 23:51 | 向島こひつじ書房の本棚
最期にいい人生だったと言えればよし
鳩の街のこすみ図書から牧師館へ移住してきたソックモンキーたち。靴下一足で作れるそうです。ワークショップで作った作品たちは、絵本の一箱にしのばせて被災地に送り届けられたら、ということで待機中。マッチングを確認中です。しばらくはわがやでいっしょに暮らすことになるかな。見ているだけで、なごみますよ、これ。
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震災で人生観が変わった、
と礼拝の後、教会の方が言う。
人生観というか、日本が何か変わったのは確かだろうと思う。

その方は、持病のために体の自由のきかないことが多く、
あの日、揺れ動く部屋の中で、
ただひたすらじっと座っているだけだったという。
ああ、これで終わりかもしれないと腹をくくり、
身動きのとれないまま、自分の人生を振り返ってみたという。

その結論が、
いろいろあったけれど、
「とにかくイエスさまに出会えたのだからすべてよし」
と不思議なくらい安心して思ったという。

それを聞いて、ふわあ、かっこいいなぁ、と私。

思春期の迷いの多い時代、
母からよくこう言われた。
「最期のときに、ああ、いい人生だったと思えるように生きなさい」と。

それはそうだな、と思ったのだが、
その方向性も、その術も、
要するに何が「いい人生だった」と思える確固たるものなのかがわからず、
結局、迷い続ける日々だった。

母からその答えを聞いた覚えもないし、
考えれば考えるほど難しい問いだ。

でも、イエスさまに出会ってすべてよし、
というのは、今、ようやくわかってきたところだ。

今日、その方のお話を聞きながら、
毎朝聖書のことばを与えられているということは、
毎朝まっさらな希望が与えられていることなんだ、
とあらためて思った。

毎日が希望との出会いとなれば、
最期のときに、ああ、いい人生だった、と言えるに違いない。

日曜日には、ブログもこんな感じになります。

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そうだ、そうだ。わがやにムーミンのお皿があったんだ。思い出して、牧師の奥さんの友人からいただいたかわいいマフィンを乗せてみました。手作りですよ! アラビアの食器なので、こんな黒っぽい色づかいです。いつどこで買ったものか、思い出せないほど昔のもの。ムーミンがいない。昔はスナフキン派でした。今はちょっと違うなぁ。

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by Annes_Tea | 2011-06-05 23:59 | 牧師館で暮らす
ほめ上手な人に育てられる
メルは一日に何十回も「good」と私に言われます。私も同じように夫に言われてみたいような気もします。いつでも機嫌のいい奥さんでいられそう。
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歯の定期検診に行った。
「よく磨けてますよ」
といつもの歯科衛生士さんが言う。
わ、嬉しい。
じつは今回ばかりはだめ出しかなぁ、
と覚悟していたのでほっとした。
「この調子で磨いていきましょうね」
とさらに明るい調子で言う。
よかった。

口の中のことは怠けるとすぐにばれてしまう。
身に覚えがあるだけに、
検診前は少しばかりどきどきする。

でも、彼女はいつもまずほめて、
それから注意事項を話す。
この箇所が磨きにくいですよね、
ここは力を入れないでいきましょうね、云々。
ほめられてからのアドバイスだから、
こちらも素直にはいはい、と聞ける耳になっている。
これがコツだな。
相手の心をまず柔らかくしておいて、
それから必要なことを端的に教える。

このまちに来て、
自分に合う歯科医に出会うまで時間がかかった。
夫に紹介してもらった歯科医は
腕はいいのだが、説明不足で私には合わなかった。
専門家としての腕は当然のこと、
ことばで納得がいくように応答してくれる人。
何事でもこれが私の条件なのだ。
どうしてなかなか。
病院、美容院、魚屋、肉屋とひとつずつ定まって、
歯科医はいちばん最後だったかな。

腕のいい歯科医とほめ上手の歯科衛生士さん。
最強のタッグチームに出会い、
ひとまずお口の中は安心である。

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by Annes_Tea | 2011-05-27 00:57 | 牧師館で暮らす
被災地へ、一箱の思いをつなぐ
お休み中に、隅田川沿いの汐入公園までメルと散歩。これはきのこ? ワインのコルク? 
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じつは中に入れるのです。トイプードルを連れた人が入っていましたが、ボーダーはいいんでしょうか? 隅田川には、こういうアートが増えつつあります。これは川俣正さんの汐入タワー。
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休日を外して動くのが常なので、
毎年、ゴールデンウイークにはあまり遠出はしない。
それでも、今年は気持ちがいつもと違う。
当然と言えば当然だろうけれど。

昨年は何をしていのだったけ?
こういうときに、ブログは便利だ。
やっぱり、近場をうろうろ。
夫のハーレーに初乗りさせてもらっていた。
(と言ってももちろん後ろ)

大島、仙台とハーレー好きの牧師を渡り歩き、
ここ墨田にやってきたハーレーは、
結局、この下町が最後の場所となった。
修理をして乗るという醍醐味は、
妻にはどうにも理解できないことなのだが、
夫の楽しみにやいやい言うのは野暮というのだけは心得ている。
ついにバイク屋に引き取られ、
それでも足が必要だと、
今度は壊れていないハーレーがやってきた。
中古らしいのだが、私が見ても美しい。
近所のバイク好きな人が通りかかっては立ち話。
聖会に行っては、バイク好きの若者から声をかけられ。
とまあ、ハーレーはフェイスブックよりも友達が増えるツールのようだ。

お休みは、あれこれと友だちと会う機会となった。
お風呂の修理のついでに、
場所ふさぎとなっていた物を持っていっていただき、
少しばかり広く集いやすくなった牧師館で、
久しぶりのホームパーティ。
食べたいものをみなで勝手に作って食べてしゃべって、
という集まりは、ほんと、楽しい。
みんなが帰った後、「愉快、愉快」と夫がつぶやいていた。
大笑い、バカ話盛りだくさん、
でも、最後には祈って終われるところがよいな、と思う。

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サウンドアーティストの友だちが作ってくれたインドのにんじんデザート。心なしかリズミカル?


祈りと言えば、
子どもの日には、震災支援でつながりを持った教会に行き、
震災復興のための祈りと賛美の集いに参加した。
プログラムはなく、
導かれるままに祈りと賛美を4時間。
ほんと、4時間。
でも、ぜーんぜん疲れなくて、楽しい楽しい。
福島の震災復興の拠点となっている教会から、
若い先生たちがたくさん駆けつけて、
現地のリアルな話をしてくださった。
その後、イタリアンレストランでしょ、
というような教会のカフェテリアで食事とおしゃべり。
そして、昨年建ったというすばらしい会堂を案内していただいた。
東京で体育館のある教会を初めて見た。
母子室が琉球畳! よいなあ、好きなんだ、あれ。
アメリカのデモインにある私たちの仲間の教会を思い出した。
教会の体育館でウエルカムパーティをしていただいたのだっけ。

震災以来、
出会う人とすぐに打ち解けることが増えている。
あるいは本音。
いや、いつもわたしはことばがストレートすぎて、
もっと口を抑えなければ、というのが課題なんだけど、
今はこうもっといい意味で、本音と本音。

あるいは、最近、夫についていくと、
クリスチャンの同窓会のような場面に出くわす。
クリスチャンの長い夫なので、
知り合いとの歴史も長い。
わたしはそこに後から加えてもらったわけだけど、
そこでも独特な親しさで会話が深まるのは
以前にはなかったことのように思う。
今日も三郷のコストコで、
夫の古い古い友人に出くわしてびっくり。
わたしたちは日曜日の教会創立記念のお祝いの食糧を
買い出しに行ったのだった。

前にも書いたが、
会う人、会う人、被災地支援に行っているので、
行っていないことに罪責感を覚えつつあることに気付いた。
いや、そうではない、とわかっているのに。
祈り会の中で、
やはり同じような思いをクリスチャンたちが持っていることを知り、
必要のない罪責感を下ろすことができた。

今ここで、やるべきことをやる。
行くべき時には行くのだろうし。

ホームパーティに来てくれた友人が、
1週間ほど前、スタッフであるNGOの働きで被災地を訪問した。
わたしは近所のお母さんから、
被災地支援のために子ども服を預かっていたので、
彼女に託すことにした。
無事、子ども服の詰まった一箱は、
仙台の必要な場所に送り届けられた。
教会からどこかに送っていただけませんか?
と、ときどき近所の人に聞かれる。
教会を思い出してくれて、うれしいな、と思う。


一箱、一箱、と現地に送り届けてもらう。
小さな教会のわたしにできることはこんなこと。
それでも、
一箱に詰まった誰かの思いを、
確実に必要なところへ届けられる現場にいることに、
感謝だなあ、としみじみ。


文中に出てくる被災地支援訪問(福島、宮城)の様子はここで読めます。パイオリニストの清水節子さんは、墨田の震災支援の祈り会においで下さった方です。そこで出会った二人が、今回の働きへとつながりました。また、同じくそこで出会った牧師の奥さまが、素晴らしいお菓子を焼いてくださり、友だちたちが被災地に持って行ってくれました。つながる!
http://watoto.jp/wp/news/2011/05/03/fukushimaapril2011/
http://watoto.jp/wp/news/2011/05/03/miyagiapr0/"

こんな働きにもひょんなことから加わってます。
拠点は谷根千。なかなか都合が合わず行けていませんが。
本に関わるお仕事の方たちが中心なので、機動力あります。すごいです。
「一箱本送り隊」
http://honokuri.exblog.jp/


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by Annes_Tea | 2011-05-07 00:07 | 向島こひつじ書房の本棚
人生を再建しようとするときに読みたい本は
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イースターリリーを片付けた。

満開になるまで、結局、6日もかかった。
毎年、満開のいちばんよい姿を見られるのは、
片付け隊である私だけなのが残念。

イースターリリーの香りは控え目だ。
可憐、清楚、ということばが確かに似合う。
オリエンタルリリーの香りは濃密で、
ときには息苦しくなることさえある。
でも、あのむせ返るような香りに包まれると、
いかにも特別な日というハレの雰囲気になる。
大きくあでやかな花と存在感のある香りは
いかにもユリらしくて、わかりやすい。
だから、本家のイースターリリーよりも
人気なのは、なるほど、と思う。
テッポウユリの名前を持つイースターリリーは
花の開きぐあいがテッボウのごとく狭くて横を向いているために、
花粉をとる際には相当注意が必要だし。

さて、来年はどちらにしようかな?

白いユリを生けたり片付けたりする度に、
夏目漱石の『それから』を思い出す。
と言っても、
森田芳光監督の映画の方を。
漱石読みとしては、
代助が松田優作かあ、と驚いたし、
あの映画はちょっとと思うものの、
ユリの場面だけは忘れがたい。

「高等遊民」なんてことばに憧れたっけ。
映画はともかく、
今、この揺れる日本で、
漱石なんかを再読してみると気付くことが多いかもしれない。
(と思って、漱石の文庫本を本棚のいい場所に移動だけしてみた)

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被災地に本を送る働きに少しだけ関わっていて、
現地で望まれているのはどんな本だろうとよく考える。
被災した経験はないけれど、
一日で積み重ねてきたものを失うという意味では、
犯罪被害に遭うということは、
ある種、人生の震災のような出来事だった。
私はそこから立ち直ろうとする過程の中で、
夏目漱石やら佐藤春夫やら宮沢賢治やら、
学生時代にお世話になった作家たちを読みふけった時期がある。
たぶんあれは、
「学生時代」という安全な場所に
逃げ込みたかったのではないかな。

でも、それも時間がかなり経ってからで、
事件から1年くらいの間は、子どもの本しかほとんど読めなかった。
最初に開いたのは『アンの愛情』だったはずだ。
『赤毛のアン』ではなく第三巻のロマンスものを選んだのは、
やわらかく甘い夢物語が必要だったのだ。
現実の厳しさとやるせなさをどうしてよいかわからなくて。
『続・足ながおじさん』なんかも読んだ。
私は『足ながおじさん』ではなく、
子どものころから『続』の方が好き。
あとがきで、作家が短命だったことなんかを熟読して、
自分を慰めようともした。

水に撒かれたパン、をつかむ思いだった。

でも、今、その悩んで悩んでの日々を通して、
さまざまな本のことばとはまるで次元の違う、
聖書という確かなことばに出会えたのだとわかる。

生きたことばは、しぼんだ心を蘇らせる。
これはほんとうだな、と思う。
水にパンを撒いてくれた一人一人に感謝している。

6月ごろから、
子どもの本を大人たちで読む読書会を開く予定だ。
場所は向島の『こすみ図書』とこの牧師館。
最初の本は何にしよう?

福音館の『完訳ハイジ』か、
講談社から新しく出た文庫の『ムーミン』シリーズも気になる。

懐かしい友に早くまた会いたい。楽しみ。

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by Annes_Tea | 2011-05-04 00:10 | 向島こひつじ書房の本棚
絵本と自転車で震災復興支援
向島自転車部発・震災復興支援自転車の第一陣は、東北応援団LOVE EASTを通して、気仙沼パプテスト教会に行きました。運んで下さったのは田島建設さん。素晴らしい会社です。
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支援を長続きしていくには、得意分野を生かしていくのがいちばん無理がないと思います。私は絵本、夫は自転車で。向島自転車部のみんなは欲がなくて、その上パッションの人たちで、ほんと素敵です。
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ゴールデンウイークの初日、
自転車で錦糸町まで行った。
約束に遅れそうだったので、
自転車部の底力を発揮してくねくね道にもめげず、
飛ばす、飛ばす。
が、突然、人の多さに一歩も前に進めなくなった。
これはいったい何?
見上げて気付く。
東京スカイツリーなのね。
東北の観光地も、
これくらい人出があるとよいなと思う。
結局、約束に20分も遅刻したのでした。すんません。

3週間ぶりの錦糸町はふだん通りの雰囲気で、
そのあまりの普通さに少しくらくらする。
阪神大震災のとき、
神戸から大阪に行ったときの気持ちを思い出した。
大阪のまちはふだん通りの活気で、
そのあまりの普通さに、
気持ちがついていけずにやっぱりくらくらした。

どのまちに今、自分がいるのか、
あるいは、いるべきなのか。
日々、選択を迫られるな、と思う。

震災以来、会う人、会う人、
少なくとも二人に一人は被災地に行っている。
現地の支援の様子を日々リアルに聞く機会にも恵まれている。
東京に暮らしている人間だったら、
それが標準かな、
という感覚でいたのだけれど、
どうかな? 
と思ったのは、
全然違う集まりに行ったときのこと。
ヒサイチ? くらいに遠い出来事になっていて驚いた。

1年間の仕事を終えて、
東京から関西へ帰る友だちがいる。
この休みに、サヨナラ食事会をすることになった。
と言っても、気のおけない4、5人の集まりのつもり。
あてにしていた友だちが来られなくなり、
会いたい顔を思いめぐらした。
あの人とあの人。
久しぶりにメールをしてみると、
ひとりは石巻へ震災支援の演奏に行くと言う。
もうひとりも、
今日から5日までみっちり福島へボランティア。
二人ともそろって、
残念、また機会を作ろうね、
との返事。

どんな価値観の人たちといっしょにいるか。
これも心して選んでいかないと、と思う今、
みなそれぞれにパッションのある友が多くて、
ほんと、シアワセ。



気仙沼で瓦礫撤去作業をして来られた方から、報告の写真が届きました。浜は魚の腐った臭いと油の臭いが入り交じり、息もできないような状態だったそうです。
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石巻に演奏に行く友人はサックスプレーヤーのSteveさんです。いわきの避難所で演奏した様子を少し見られます。


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by Annes_Tea | 2011-04-29 22:49 | 向島こひつじ書房の本棚
イースターの季節
2月に植えたハウチワカエデはこの1週間でどんどん葉をつけ始めました。
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震災以来、毎日たくさんの人と会って、
毎日たくさんのところに顔を出しているような気がする。
だから、
書きたいことはいくらでもあるのだけど、
思いをじっくりことばにする時間が、今、とれないでいる。
気ぜわしくはないし、
地道に暮らしてはいるのに何だろうこれ?

1週間、風呂なし、お湯なし、ほぼ台所なしの生活を終えて、
牧師館のお風呂のリフォームが完成した。
最後には、食べることの気力を保つのがやっとだった。
ビニールに覆われた部屋で、
朝食は立って食べるようなありさま。
その奇妙な暮らしの残滓かな?

お風呂掃除が驚くほど楽になり、
文明とは便利なものよ、と思うのだけど、
不自由を続けてきたたくましさ、
というのは確かに身についているな、と思ったりもする。
だからといって、
不便なお風呂に戻りたいかと問われれば、
いいえ、と言うだろうし。

「今は、文明を根本的に見直す時期に来ているチャンスかもしれない」
と言ったのは、
昨日の集まりで話してくれた85歳の彫刻家だ。
9・11を体験したマコト・フジムラさんを講師に、
「アートが今できること」を考える集まりだった。
「自分には何もできない」
とわかるところからが出発、
というようなことを言っていたような気がする。
気がする、なんて曖昧だけど、
震災以来、たくさんの人とたくさんのことを分かち合い、
たくさんのことを学ぶ機会に恵まれ、
わたしの中で交通整理できていないせいだ。
教えてもらったのは言語学の「generative」という言葉。

ここ最近ですとん、と心に落ちたことばは、
教会教職者のための災害カウンセリングセミナーで、
アメリカ人カウセンラーが言ったことばだ。
「神さまがその人の心を開くためには辛い体験を用いることがある」
うんうん、わかる、と思ってメモしておいた。
辛い体験をどう受け止めるか。
そこが人生の分かれ道だと思う。
わたしはやっばり、
荒野に花が咲く、ということを心の底から信じているから、
そのカウンセラーの意見はよくわかる。

今週は受難週だ。
イースターはイエスさまの復活のお祝い。
これこそ、荒野に花が咲くための土台だな、と思う。
いつもの年ならば、
この季節にはイースターの準備で頭がいっぱいなのに、
今年はリースを出したところで止まっている。
でも、庭を見ると、
いたるところで花が咲き、木は芽吹き、
ああ、わたしが何か準備しなくとも、
自然はちゃんとお祝いに向かって、
着々と自らを整えているのだとわかって安心する。


とは言え,
そろそろイースターの愛餐会や子ども会の準備をしないと。


e0165236_952349.jpgジューンベリーは地植えにしました。花の後に葉が出てくるという順番です。
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by Annes_Tea | 2011-04-20 09:10 | イースター
桜は満開、ハウチワカエデは芽を出す

2月に植えたハウチワカエデが、いつの間にか柔らかな新芽を出していました。
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気がつけば桜が満開になっていた。

といっても、気づいたのは代々木上原の薄暗いホームで
電車を待っている時だった。
「どう上野? 咲いてる? 提灯出てる?」
前にいた男性が携帯電話でしゃべっている。
あ、隅田川。
ここ数日の気温ならば、つぼみはみな開いたはずだ。

夜、夫の誕生日を早めに祝うため、浅草橋まで出た。
張りつめた気持ちを今夜は緩ませよう、
と久しぶりに外で食事をとる。
夫の春休みも終わりだ。
来週からは高校でまた授業が始まる。

春休みのようで春休みではなかったね、
毎日、震災支援のことを考え走り続けたね。
これから変わっていくんだ、いろいろと。
とかかなんとか会話をしながら、
「オメデトウ」と伝えた。

家を出る前に、
自転車部の仲間が中古自転車を1台持ってきてくれた。
本に続き、東北に送る自転車を集めている。
教会にいったん集積し、
自転車部のメンバーで修理と整備をする。
磨き上げれば完成だ。
それを竹の塚の大きな教会へと送り、
他の物資とともに宮城まで運んでもらう。
ゴスペルシンガーの岩渕まことさんたちの呼びかけで始まった
「東北応援団LOVE EAST」に賛同して、
私たちにできることで関わらせてもらっている。

地元の仲間が私たちの呼びかけに応じ、
あちこちツテをたどって自転車を探してくれている。
明日もイラストレーターさんが持ってきてくれる、とよい知らせ。

昨日まで知らなかった人たちと、
震災以来、旧知のようにメールをやりとりしたり祈ったり、
家まで遊びに行ったり、
携帯電話でしゃべったり、
そんなことが続きに続いた3週間だった。
昔の友だちや大学時代の先輩たちとつながり直し、
今日は宮城在住の先輩に赤ちゃんが産まれた知らせまで届いた。
遠巻きに見ていたフェイスブックさえ、
少しは使えるようになってきた。

帰りは浅草で降りて、隅田川を少しだけ歩いた。
やっぱり満開だ。
カラオケも出店もいつものような提灯もないけれど、
桜の下には若い人たちがいく組も宴会を開いていた。
笑い声の中を、三々五々、人が歩いていく。
これが、本来の花見かもしれないね。
暗い川面の上をひと際明るく屋形船が走る。
青色と黄色のネオンはさながらデコトラだ。
自家発電だからあれは節電しなくていいのだろうね、
とかなんとか夫としゃべる。

やっぱり春なんだ。
日本は変わっていくけれど、
それはきっと光の方へ、と信じている。



3・11以降に新しく出会った腹心の友は牧師夫人です。そのご主人、つまり牧師先生手作りのオレンジ煮をいただきました。広島出身のオレンジたち。朝のヨーグルトに活躍しています。イスラエルサラダにあえると大ヒットでした。
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なぜ腹心の友かというと、同労者ということもありますが、アンと紅茶つながりです。初対面の日、こんな素晴らしい手作りクッキーを焼いて持ってきて下さいました。スバラシイ! (写真が光っていてごめんなさい)
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by Annes_Tea | 2011-04-08 01:01 | 日々の庭と花
本が人と人をつないだ3日間
ふるほん日和、終わりました。

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教会のイベントでは、
セットアップと片付けに明け暮れる身の上ですが、
今回は、お手伝いとしての身軽さゆえ、
楽しい、楽しい、と言っている間に終わっていました。

本を売ったり、値段をつけたり、おしゃべりしたりの3日間は
まるで学生時代の文化祭さながら。
昔から、本を媒介として人とつながることが好きなんです。
出版社に勤めていたころを懐かしく思い出しました。

教会でも図書係ですが、
今年は一箱絵本コーナーを作るぞ、と息巻いています。
売り子の合間に棚から絵本を見つけては、
けっこうな大人買いをしてしまいました。

神戸のひつじ書房にあるようなロングセラーの一箱を作ろうと思っています。

たくさんの出会いにありがとう!

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いつも自分たちのイベントでは、
写真を撮るひまがなくて後から残念に思うことが多いので、
今回は撮影隊をさせてもらいました。

参加した方もしていない方も、
ひととき、ふるほん日和気分を味わってくだされば。




素敵な絵本がたくさん集まりました。寄贈本には一人一人がメッセージカードを添えて下さいました。
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全国のフリーペーパーを展示して下さったのはあまやんさん。
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東京スカイツリーの刺繍入りブックカバーは甘夏書店さん。よく売れました。
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押上のヒーロー「アキラマン」も登場。太っ腹に募金をして下さいました。さすがヒーロー!
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2日目は鳩の街商店街にクラフト+古本市が立ち並んでにぎわいを増しました。よく晴れてバンザイ。
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こんなものとか、
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こんなものも売ってました。店主としばし、アルマイト談義。
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お買い上げいただいた本はここに。新聞紙を再利用したエコバック。作り方を知りたくて一部いただいてきました。夫に研究してもらう予定ですが。
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売り上げは赤十字を通して、被災地支援に充てられます。
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by Annes_Tea | 2011-04-04 22:46 | 向島こひつじ書房の本棚


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