宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん
参加者常時募集中! 「大人のための子どもの本の読書会」 墨田区のふたつの拠点を中心に、子どもの本のロングセラーを読むゆるやかなサードプレイス。幅広い年代が参加されています。 つながる・祈る・分かち合う「pray&hopeプロジェクト」を主宰。月に一度、女性たちの集まりをもっています。 ○詳細はここから メールは以下のアドレスに★を@に変えてお送りください。 booksheepbook☆ gmail.com 牧師館の住人たち (profile)← わたし ゴエモン先生 メル 墨田聖書教会Blog 文章・画像・イラストの無断転載は禁止です。引用の際には必ずご連絡ください。 外部リンク
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KIKIさんと出会ったのは、なんともう15年以上も前のこと。 私がpray&hopeプロジェクトという女性のための働きを教会で始めた時には、立ち上げイベントに歌いに来てくださったこともある。いつもステージを通してのお付き合いだけれど、遥々遠くまで、会場を下見にいらしてくださるなど、人や仕事に対する誠実な姿勢には、毎回学ばされる。 多様性を受け入れる懐の広さと温かいお人柄が大好き。仕事については、超プロフェッショナルに違いない。でも、それ以外のことは、ざっくりしているようなところも、こちらは構えずにいられて嬉しい嬉しい。 ことばを大切にして歌うKIKIさんのオリジナル曲を、ぜひ味わってみてください。心の重荷がほどけるような時間になるのではと思います。教会の70周年記念配信ということで、オットも出ております。あしからず。 特に最後の曲は、早送りしてでも、聴いていただきたい一曲です。 KIKIさんとシューブのみなさんの声がひとつに溶けて会堂に立ち上っていった瞬間、その場にいた私は、きらめく光に包まれるような幸福感を味わいました。ハレルヤ、という言葉は、こういう時にこそ使いたいと思わされました。 #
by Annes_Tea
| 2021-04-14 11:14
| hope
8年間ほどの沈黙を破って、突如、咲き始めたクリスマスローズ。今年に入って、周りを覆っているヒメツルニチニチソウを、土が見えるまで引きちぎったから。あまりの繁殖力にたじろいで、手をつけない場所になっていた花壇の暗闇。必要なのは「光」だったか。植物も人間と同じ。 先端がドライフラワー状となってしまったカルーナを、これまた引っこ抜いて、牧師館の庭の方へと払い下げ。新参者は春めいた色合いのマーガレット。周りの植物に頭を垂れてご挨拶。 春の花壇にと植えたジュリアンが、雨上がりの朝、カタツムリに食べ尽くされてしまった。黄色のジュリアンは元気なのに、赤味がかったオレンジのものは、全滅に近い。薬剤を撒いてみると、出るわ出るわ。小さなカタツムリ。毎度のことながら、見たくない光景。そうは言っても、長年の庭仕事で鍛えた精神でもって、ぽいぽいとつまんで処分。 以前にもこんなことがあった。赤色のジュリアン、そして赤色のパンジー。赤色の花はカタツムリの好物なの ? こういう時は、作戦を変える。ジュリアンの残骸は、カタツムリが敬遠しそうな場所を選んで鉢植えにし、空いたところには、新しい花苗を植える。選んだのは、黄色のジュリアンに合わせた水色のわすれな草。ぶじに育つことを祈って。 クリスマスにと植えた葉ボタンは、すっかり葉が開いてバラか芍薬か。クリスマスカラーを意識して合わせたチェッカーベリーは、事務室の玄関の寄せ植えに引っ越してもらい、代わりにキャラメル色の花を。名前は何だったけか。 #
by Annes_Tea
| 2021-03-26 12:59
| 日々の庭と花
昨日のブログで、「ねばならない」の縛りからの自由について書いた。 宮下奈都の小説『太陽のパスタ、豆のスープ』に、こんな箇所がある。 「からまって、こんがらがって、かんじがらめになっていた私を縛る糸がゆるゆるとほどけていく感触がある。肩を回す。腕を回す。楽になっている。よく見れば糸の端っこを握りしめていたのは私の手だ。私自身が私を縛っていた。・・・かんばっている人のことは素直に感嘆していよう。自分ががんばれなくても開き直らず、卑下もせず、いちばん後ろからゆうゆうと歩いていこう。」(『太陽のパスタ、豆のスーブ』宮下奈都著 集英社刊) つい最近、図書館の「本日返却された本」のワゴンでたまたま見つけた。 がんばれない自分をふがいなく感じてしまう主人公が、がんばって作ったオックステールスープを、風変わりな叔母と食べながら自らを顧みている。 いちばんうしろからゆうゆうと歩く。 いいな、この言い回し。この小説は、『羊と鋼の森』でよく知られている宮下奈都の10年以上前の作品だ。主人公は初めてのひとり暮らしにあたって、まず極上の鍋を買う。黄色いル・クルーゼで、豆をゆでる。 結婚祝いにと、私の大学時代の親友が贈ってくれたのが赤いル・クルーゼだった。彼女は、赤にするか、それとも黒かと迷ったらしい。赤にしてもらって正解だった。わがやの古いキッチンには、赤い調理道具があちこちに配されていて、料理を作る私に、元気をくれる。 昨年、義姉から、不要になったと言われて、白いル・クルーゼの鍋をもらった。楕円形でかなり大きい。二人暮らしに大きなル・クルーゼが2つ。いかがなものか。それでも、「ほしいです」と言ってしまった。欲張りにも。 ゆでた大豆は、小分けにして、いつでも冷凍してある。 シャトル・シェフを買ってからは、手間がうんと省けるので、豆をゆでるのはもっぱらこちらの鍋。 でも、久しぶりにル・クルーゼで、時間をかけてゆでてみようかな。 #
by Annes_Tea
| 2021-02-20 22:45
| お茶と料理、ときどきカフェ
自転車で遠くまで走って、自分のためにパンを買う。これは『むぎわらい』のオリーブパンとバゲット。おいしいバンがあれば、それだけで本日の食卓は成功。家族にもお裾分け。 夏休みが始まると、教会に来ているお母さんたちの嘆きも始まる。 毎日、三食のごはん作り。一度や二度ならばなんとかなる。でも、それが朝昼晩の三回になると。。。 児童館の職員として働いていたころ、子育て中の同僚が大勢いた。 夏休み、小学生の子どもを持つ彼女たちは、信じられないほどのパワーをフル回転させていた。 朝早く、自分の子どもを食べさせて、日中は、職場で子どもたちのケアをする。 昼休みになると、再び自宅に戻って昼ごはんを食べさせ、午後はまた大勢の子どもたちと過ごす。 体育館ではボールで遊び、ときには公園でセミをつかまえる。工作室で折り紙やら写し絵やら、手を動かしながらおしゃべり。 おやつの時間に小学生たちの悩みを聞くこともあれば、次のイベントの準備をしたり、ポスターを描いたり、パソコンに向かったり。 そして、ようやく夕方。今度は、自転車を飛ばしてスーパーへ立ち寄り、ひと息つく間もなく、夕飯の支度にとりかかる。 これが、1か月以上続くのだ。しかも暑い盛りに。 近くで見ているだけの私でさえ、息切れがしてしまいそうだった。 毎日のごはんが大切。これは私も大いに肯くところで、大袈裟に言えば、私にとって生きる軸のひとつだ。 でも、毎日のごはん作りは大変だとも声にして言ってしまう。 心悩む人に食事を提供し続け、おにぎりで有名な佐藤初女さんは、「めんどくさい」ということばが大嫌いだとよく話されていた。それを素晴らしい心のあり様だと尊敬する。それでも、私という人は、つい言ってしまう。めんどうだなぁ、と。 自分ひとりならば、温野菜とスープとチーズとパン、あるいは、パンの代わりにペンネをゆでる。いわゆるスパゲッティと呼ばれるような長いパスタではなく、フリッジだとかペンネにするのは、小さい手鍋でも、パスタのようにはみ出すことがなく、簡単にゆでられるからだ。 野菜の種類を変えたり、ゆで玉子を加えたり、しょうがとネギでゆでた鶏肉を細かく割いて和えたり。順列組み合わせのように少しずつ変化させていたくだけで、じゅうぶんに嬉しいごはんとなる。 でもそれが、だれかを食べさせるとなると。しかも三度三度となると。 献立のバランス、品数、調理のタイミングなど、考えることが倍以上に増える。そこで、めんどくさい、大変だ、というつぶやきが出てしまうのだ。 とくに、問題はお昼だ。 自分のペースで進めていた仕事や雑用をいったん脇に置いて、台所へと向かう。 作ることにかけた時間に対して、家族が食べる時間の短さよ。あっという間なのだ。 この小さなストレスが積み重なっていくのが、食住隣接のキケンなところではないのかな。 解決法は、とても簡単だった。 いつのころからか、私とオットは、平日の昼は別々に好きなものを作るようになった。朝と夜は、基本的には私が作り、私が忙しかったり、気持ちが大変な時には、オットにお願いをして作ってもらう。そして、昼は好きな時間に好きなものを。 たまには、食べる? と聞いて、どちらかが二人分を作ることもある。オットの得意は、焼きそばを加えたお好み焼き、「モダン焼き」だ。気分転換に、混雑しない時間を見計らって外へランチにも行く。 お昼は? ごはんは? とは言わないオットなので、家事全般について、ことばで追い詰められるようなことはこれまで一度もなかった。ただ、私がひとりで勝手に、自分を追い詰めてきただけだ。ねばならない、の罪責感を負いやすい性質なのだ。 今は、ほどよくゆるく、毎日の食事作りの時間が進む。 そういえば、昨年の春ごろから、ステイホームと言われるようになって1年近くになるが、ごはん作りが大変だと一度も思ったことがない。長い練習の成果が、緊急事態に役立ったというわけだ。 ねばならないをどんどん手放して、自由になる。 ごはん作りを積み重ねてきたからこそ、手に入れた自由なのかな。 #
by Annes_Tea
| 2021-02-19 12:21
| お茶と料理、ときどきカフェ
新しい年が始まって、夏目漱石に会ってきた。 開館したときから、いつかは行かねばと思っていた場所だ。 最寄駅は東西線の早稲田駅。墨田からは大江戸線の牛込柳町駅が便利だ。 とはいえ、電車には乗りたくない。 そこで、空いている時間帯をねらって、バスを乗り継ぐことにした。 途中、上野の不忍池で降り、冬の蓮池に立ち寄る。 ひとつだけ空いていたベンチに座って、なぜかバナナロールを食べる。 早稲田方面のバスに乗るのは初めてだ。 数年間は通勤した音羽界隈を通る。 かつて働いていた出版社はもとより、どこもかしこも新しいビルになっているので、 懐かしさが少しも湧いてこない。 キングレコードが江戸川橋寄りに移転していて、モダンな構えになっている。 それでも、信号待ちしていた車窓から、和菓子の郡林堂を見つけて、 久しぶり、と旧知に声をかけたくなる。 赤いえんどう豆がぎっしり詰まったあの豆大福。好きだったなぁ。 打ち粉で口の周りを真っ白にしながら、編集部のデスクでいただいたっけ。 訪ねたのは緊急事態宣言の前だったが、漱石山房はほぼ貸切状態だった。 私たちが入館した時には、女性がひとり、京都上林の日本茶ドリンクを、ガラス張りのカフェで飲んでいた。 館内をひと通り見て回った後には、その人の姿もなく、お客さんは私たちだけだった。 なんという贅沢。 この記念館は、漱石が亡くなるまで執筆を続けた住居跡に建てられている。 2階では、企画展として、漱石の書と書簡が展示されていた。 漱石と言えば、私は小説よりも、随筆や書簡が好きだ。 中学生の時に初めて漱石の小説を手にして衝撃を受け、それ以来のファンではある。 ただ、今この時代に読むのが、ちょっとしんどいような気持ちがあり、 ここ数年、小説だけは敬遠している。 展示されていた短い書簡の抜き書きが気になったので、検索してみると、 たくさんの人がブログに引用している。今年は特に多いのかな。 「牛」が出てくる書簡だから。2021年は丑年。 心に響くところがあったので、著作権フリーに感謝して、 牧師館のお茶会でも紹介してみようかな。 この書簡の宛先は、門下生の芥川隆之介と久米正雄だ。 「牛になる事はどうしても必要です。 われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。 僕のような老猾なものでも、ただいま牛と馬とつながって孕める事ある相の子位な程度のものです。 あせっては不可(いけま)せん。頭を悪くしては不可せん。 根気ずくでお出でなさい。 世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、 火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。 うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。 決して相手を拵えてそれを押しちゃ不可せん。 相手はいくらでも後から後からと出て来ます。 そうしてわれわれを悩ませます。 牛は超然として押していくのです。 何を押すかと聞くなら申します。 人間を押すのです。文士を押すのではありません。 これから湯に入ります。」 南国の植物? と訝っていたら、警備員さんが寄ってきて、 「漱石の家に植えられていた植物をすべて再現してあるんですよ」と教えてくださった。 雨の多いロンドンで神経が辛くなってしまった漱石は、暖かい国に憧れでもあったのだっけ。 帰りは神楽坂経由で。坂のあるまちの期待感が好き。こ れは新潮社の倉庫を再利用した商業施設。 生活雑貨や器、食材などのセレクトショップ。レストランも入っている。 2021年、自転車と徒歩とバイクの日々になりそうな。 歩けること、自転車に乗れること、そんなひとつひとつに感謝。 #
by Annes_Tea
| 2021-01-15 21:49
| まちを歩く
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