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下町すみだ牧師館暮らし牧師の奥さん&文筆家・宮葉子のブログ             
by Annes_Tea
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宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん


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「大人のための子どもの本の読書会」
墨田区のふたつの拠点を中心に、子どもの本のロングセラーを読むゆるやかなサードプレイス。幅広い年代が参加されています。


つながる・祈る・分かち合う「pray&hopeプロジェクト」を主宰。月に一度、女性たちの集まりをもっています。
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まちの輪郭をたどって元気になる
           さて、メルが見ているものは?
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                   十姉妹でした。
まちの輪郭をたどって元気になる_e0165236_0315496.jpg


   

先日、鎌倉に行った。
陽光の明るさが下町とはちがう。
わたし好みの小高い山、坂と緑もあり、
なによりまちの人がまちに充足しているところに安心する。
玄関の寄せ植えひとつを見ても、
まちを慈しむ気持ちが伝わってくるのだ。

(あなたの住みたいまちは?)
女性雑誌の編集部にいたころ、こんなテーマで何度か企画を考えた。
当時働いていたのは、みなシングルの女性たちということもあり、
人気なのは、吉祥寺や下北沢、それに葉山だった。
葉山には、雑貨の撮影でお世話になることが多く、
何度か通ううちに、みながファンなっていった土地である。
海辺のまちが作り出すゆるい空気と青い空は、
サボテンまでも枯らしてしまうほど忙しいわたしたちには、
スローで、まぶしく感じられるまちだった。
でも、実際に長く暮らしているスタイリストさんは、
「自由と言えば聞こえはいいけど、
 いい年になっても、ちゃんと働かない人が多くて心配になっちゃう」
とそっと教えてくれた。

初めてのひとり暮らしには、
原宿にも渋谷にも歩いていける最高のロケーションを選んだ。
それまで東京の郊外にある実家で暮らしていたので、
とにかく便利で、
終電を気にしないで働けること(という生活だったのだ)を最優先に、
欲張りな条件もたくさんつけた。
坂も緑もあって(やっぱり)、
自転車で走るに楽しく、
深夜まで空いているカフェも、
しゃれた食材のあるスーパーも必要だわね。
まちの好みをきりなくあげた結果、
部屋は狭小のワンルームとなった。

代々木公園をジョギングして、
朝は焼きたてのパンを原宿まで自転車で買いに行く。
夢の生活プランは、いつかいつかと思っているうちに、
一度もジョギングをしないまま、次のまちへと移り住むことになった。
どうして?
都心で暮らす楽しさは、確かに存分に味わえた。
でも、ある日、近くのケーキ屋さんに入ったときに、突然、こう思ったのだ。
(ケーキの値段が高過ぎる)
今から思うと、これはたぶん、口実。
本当は、自分が生まれた中央線の、
あのピンからキリという香りにホームシックを覚えたのだ。
結局、中央線沿線の住人に戻ったわたしは、
結婚するまで阿佐ヶ谷で暮らした。
広い並木道や路地をそぞろ歩き、
まちの輪郭をたどっていくうちに、元気になれる。
わたしはそんなまちが好きなのだ。

初めての下町暮らしが始まり、
母といっしょにこのまちを歩いた時、こう言われた。
「あなたがいちばん苦手な感じのまちじゃない?」
さすが、母親だ。図星だった。
空が低い。風が流れていない。緑もない。
家と家とののりしろがない。
カフェもしゃれた雑貨屋や花屋もない。
耳を澄ませば聞こえるのは工場で働く工作機械の音。
ショッピングカートを押すのは年をとった女性たち。
何年も塗り替えられていないしもたやの壁や、
路地に置かれたプラスチックの植木鉢の数々。
まちを歩くと迷子になり、輪郭はいつまでたってもつかめない。
岩と岩との裂け目に入り込んだような閉塞感にめまいがする。
それで、最初はしくしくと泣いた。

そんなとき、東京郊外で暮らす大先輩の牧師夫人から、
自分も同じような思いを体験したのだと聞かせてもらった。
生まれも育ちもその場所だとしか思えないほど、
そのまちを愛し、そのまちに仕えてきた人が、
最初はわたしと同じだったなんてと驚いた。
別の牧師夫人からも、
自分ではけっして選ばないようなまちに住むことは、
わたしたちにはよくあることよ、と言われた。
だから、まちのために、そしてまちを愛するために、
わたしたちは祈らされるのだ、とも。

なるほど、なるほど。
大先輩たちのことばには、経験に基づいた真実がある。
今、何年かこのまちで暮らして思うことは、
結局、まちというものは、
そこにおける人との関わりによって
好きにもきらいにもなるということだ。
その最初の一歩は、あいさつよね、
と初心に戻るこのごろだ。

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まちの輪郭をたどって元気になる_e0165236_0325244.jpg

               鎌倉の和の庭を背景にしたメルもおつなもの。
               この素敵なおうちの住人さんたちが、
               新しい国、新しいまちへと旅立つので、
               家族ぐるみで一日をいっしょに過ごしました。
               メルも鎌倉散策は気に入ったようでした。
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               縁側のあるリビングでおしゃべりしていると、
               あらあら、バッタの赤ちゃんが。
by Annes_Tea | 2009-07-04 00:47 | まちを歩く
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