宮 葉子 yoko miya
文筆家+牧師の奥さん
参加者常時募集中! 「大人のための子どもの本の読書会」 墨田区のふたつの拠点を中心に、子どもの本のロングセラーを読むゆるやかなサードプレイス。幅広い年代が参加されています。 つながる・祈る・分かち合う「pray&hopeプロジェクト」を主宰。月に一度、女性たちの集まりをもっています。 ○詳細はここから メールは以下のアドレスに★を@に変えてお送りください。 booksheepbook☆ gmail.com 牧師館の住人たち (profile)← わたし ゴエモン先生 メル 墨田聖書教会Blog 文章・画像・イラストの無断転載は禁止です。引用の際には必ずご連絡ください。 外部リンク
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「五島市教会巡りハンドブック」によると、下五島の教会は全部で21あります。いちばん大きい福江島の教会だけであれば、一日でまわれます。じっくりひとつのところを訪れたいのか、とにかく数を重視するのか、旅のスタイルで必要な時間が変わってくると思います。私たちはひと通りはまわりましたが、車から外観を見るだけにとどめた教会もいくつかあり、数を絞って見学しました。ただ、久賀島、奈留島という離島には世界遺産暫定リスト入りの教会があるので、こちらも訪れたい場合にはもう少し時間が必要です。交通手段である船の便が少なく、ツアー利用には予約が必要なため、前もって計画することをおすすめします。数年前に旅した方にうかがうと、久賀島に渡るだけでもひと苦労したそうですが、世界遺産登録に向けて、以前よりは交通手段が充実してきているようです。それでも時間の限られた旅人ゆえ、木口汽船の教会巡礼コースという定期観光を利用しました。実際に参加してみると、このような地道なツアーを続けこられた方々の尽力の積み重ねが、世界遺産登録への動きにつながったのではないかと感じました。案内してくださった方には、大変親切にしていただきました。前日までに電話で予約が必要です。私たちは上五島に渡る日でしたが、このツアーを利用すると、半日はかかるため、上五島には夕方着の船しか選べません。船と船との時間調整の難しさが、島旅ならではの味。ゆとりを持って組まないと、うまくいかないのが五島列島教会めぐりの旅です。 半潜水式グラスボートのシーガルに乗って久賀島へ渡りました。 これが久賀島の港です。向こうに見える緑の奥は、椿の原生林や段々畑で有名です。 途中までは道もよく整備されています。ツアー参加者は全部で4名。港から車に乗り換えて出発。 *迫害の史実を伝えるべく、島オリジナルの聖歌があることを、今回の旅で知りました。五島の教会が背負ってきたもの、またその信仰をとてもよく伝えていると思いますのでそれぞれの教会ごとに紹介します。 ●浜脇教会 久賀島の残酷な迫害を乗り越えた信徒たちによって1881年に最初の会堂が建立されました。和洋ミックスの稀にみる教会建築で、これが現在の旧五輪教会の会堂です。浜脇教会は、1931年、台風にそなえた堅牢さを考慮し、五島初の鉄筋コンクリート造りの教会に建て替えられました。その際、資材を処分せず、五輪地区に教会をとの願いを受けて現在の地に移築され五輪教会となりました。その後、隣接した土地に五輪教会の新会堂が建てられました。恵みのリサイクルですね。浜脇教会では、信徒の高齢化が進んでいるとはいえ、日曜日の礼拝後は、みんなでランチやゲートボールをして、一日をゆっくり共に過ごす豊かさがあります。 久賀島教会讃歌、詩中山利喜太郎、曲フランス聖歌 1. 浜脇教会。瀬戸の流れに、姿浮かべ。山を背負いて、立てる聖堂。神の住いと、民は集い。実り豊けき、いける信仰 ●牢屋の窄殉教記念教会 この場所で、キリシタン迫害史のなかでも際立って残虐な行為が行われました。1868年、明治元年になってなお、このような野蛮な行為が行われたことに日本人の恐ろしさを感じました。自らをクリスチャンだと信仰表明したばかりに、12畳ほどの狭い部屋に200人ほどが8か月の長きにわたって押し込められました。子どもたちは圧死し、あるいは餓死し、結局42名の信徒が命を落としました。案内の方が、その詳細を語って下さいましたが、気分が悪くなるほどの内容でした。五島の迫害の凄まじさについては、旅する長崎学というサイトによくまとめられていますので、リンクを貼っておきます。この非人道的な事件は世界の知るところとなり、外圧によってようやく禁じられるようになりました。フランクルの『夜と霧』を思い出しますが、人間というのは化けの皮を剥いでみると、本当に恐ろしい罪を抱えた哀れなものだとつくづく。私ももちろんその人間のひとりだという自戒を込めて。この迫害を子どものころに経験した方がまだ存命です。憲法九条も危うい今、つい最近まで日本とはこのような国だったことを私たちは忘れてはならないと思います。 独特な雰囲気の場所でした。たくさんの人がとりなして祈ってきたのを感じました。静謐です。 久賀島教会讃歌、詩中山利喜太郎、曲フランス聖歌 2. 牢屋の窄殉教。茨の谷に、悪しき誘い。おそいくるとも、たじろぎなし。道のしるべと、仰ぎまつり。語り継がなん、猛き信仰 車でどんどん山道に分け入っていきます。舗装された道路が途切れ、大丈夫だろうかというような細い道も,くねくね坂も、果敢に運転して行きます。乗っていた私たちの言葉数も少なくなっていきました。こんなところに教会や集落があるのだろうか、と思っていたら山の中で停止しました。ここから先は徒歩です。 山道を下り、だんだんと海に近付いていきます。なんという透明度。熱帯魚が。 ●旧五輪教会 今回、いちばん行きたかった教会です。外観は和式建築、内部は三廊式、板張りリブ・ヴォートル天井、ゴシック風祭壇といった本格的な教会建築様式です。国の重要文化財に指定されています。知り合いの牧師は、バイクを積んで船旅し、この会堂に何時間も佇んで祈ったと教えてくれました。そういう気持ちになる教会です。 久賀島教会讃歌、詩中山利喜太郎、曲フランス聖歌 3. 五輪教会。浜辺にそびえ、百歳(ももとせ)経て。思いで尽きず、恵み溢れ。先祖(みおや)の功徳、今も偲び。幾千代(いくちよ)までも、香る信仰 これは現在使われている五輪教会です。1985年に建立。五島で最も新しい会堂です。旧五輪教会のすぐ隣に位置しています。 目の前は、静かな港です。いったいどうやって礼拝に来るのかと案じていましたら、車以外に、漁船や海上タクシーを利用するのだそうです。礼拝に漁船で行くというのは、この島では日常的なことなのですね。 ●以下、関連リンクです。 五島の迫害と殉教の歴史についてまとめられています。 旅する長崎学 教会めぐりの旅で役立ったサイトの紹介 ながさき旅ネット・教会めぐり 木口汽船(久賀島巡礼コース) 九州商船 ジェットフォイルがなければ島の旅は始まりません。ただし、台風には弱く、当日の朝にならないと欠航かどうかわからないので、余裕のある日程が必要だと感じました。私たちはまさに台風を逃げながら守られた旅で、天候に関しては奇跡の連続でした。フェリーはジェットフォイルよりは欠航になることが少ないようです。時間は何倍もかかりますが。 長崎巡礼センター ここでひとまず、下五島の教会めぐりはおしまいです。上五島にはもっとたくさんの教会があるため、まだまだ旅は続きました。いずれ時間のあるときにまとめてみようと思います。来春に出す新しい本の準備と、秋のイベント、さらにはクリスマスの準備と、忙しい季節に向けて走り出すため、ブログの更新は滞りそうな気がします。五島の旅におつきあいいただきありがとうございました。 Newsその1 私が案内するまちあるきはこちら。11月2日の13:00〜。2年ぶり、一回きりですのでこの機会にぜひ。 まちみてさんぽ「知られざる墨東キリシタン史」のご案内はこちら。Bコースです。 Newsその2 好評発売中! プレゼントに人気です。30の聖書のことばの本質を、やさしいことばでエッセイにしました。ムーミンやクマのプーさん、赤毛のアンなど、こどもの本の話がたくさん出てきます。
by Annes_Tea
| 2013-10-21 20:56
| まちを歩く
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